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2007年 03月23日
花のみちの桜の下を、整列し、行進していく音楽学校生。
そのうちの一人について友達が教えてくれたことがある。 「ほら、あの子だよ! すっごい有望なんだって。 『安蘭けい』っていう名前だよ。 あの子はきっとトップになるよ!」 ・・・あの子はきっとトップになる。 その言葉を聞いてからいったい何年経ったのだろう。 長い長い、長い月日だった。 長かったから、今日が余計に嬉しいのだ。 さあ開演のベルが鳴る。 ファンは息をころして待っている。 星組トップ安蘭けい、大劇場最初の開演アナウンスを。 第一声を。 拍手を構えて待っている。 ・・・待っている。 ところが流れてきた声は、英真組長のものだった。 「開演に先立ちまして初舞台生の口上を」 今年の初舞台生はコケもせず、主席の彩風咲奈ちゃんは良い声で口上を完遂した。 今度こそ開演! 何年ぶりかの和物ショーは宝塚舞踊詩『さくら』。 サブタイトルは『-妖しいまでに美しいおまえ-』。 おまえ。 おまえ? おまえって、誰だよ。 アヤシかったのは涼紫央サンのつまずきかけた足元くらいだ。 幽玄のゆの字もありはしない。 昨今では貴重な和物ショーだが、やるたびに日本舞踊から離れていくような。 ド派手になっていくような。 若衆にティアラはいらないような。 とくに今回は「さくら」ってことで。 「春休み」ってことで。 言うなれば 「お子様でも親しめる和の世界!」 気軽に笑って楽しんで。 人形姿の綺華れいちゃんが、目玉が裏返るほど美しかったです。 芝居は児玉明子先生のデビュー作、『シークレット・ハンター』。 話題・問題・つっこみどころを期待される児玉作品だが、 こちらも「春休み」ってことで。 いつかどこかで観たような、具体的なデジャブに襲われたこととか、 あまりにもベタ過ぎてつっこむ気力すら奪われたこととか、 ・・・今日はそんなことはどうでもいいのだ。 安蘭けいが舞台に満ちる。 たった一人で歌っていても、広い舞台がいっぱいになる。 そういう瞬間を感じられたら、それでいいのだ。 劇場は拍手で割れそうだった。 安蘭サンは挨拶で涙を流しながら 「夢は見るだけではなく叶えるものです。 でも、たとえ叶えられなくても、その道程が夢なのです」 と言った。 夢なんて叶う人のほうが少ないと、 努力すれば必ず叶うというものでもないと、 誰よりも知っているであろうこの人が言うのだ。 ファンはみんな泣いてしまって客席はえらいことになっていた。 みんなの夢が叶ってよかった。 そぞろ歩く花のみちの桜はまだ蕾。 それでも東京の友人からはこんなメールが届いていた。 「2本の大きな桜が舞台で咲き誇りますように」 きれいに咲いたよ。 たくさん咲いたよ。 安蘭けい、満開。 遠野あすか、満開。 本当に本当におめでとう。 カテゴリー(星) スポンサーサイト
2007年 03月23日
2007年 03月19日
初日は飛行機が間に合わず、
千秋楽はチケットを紛失しかけた。 前売り券なんて買うもんじゃない。 ぼやきながらも滑り込みで間に合った大劇場は、花組公演千秋楽だ。 魅力的な黒蜥蜴や、おひとよしの波越警部、 キラ星のごとき書生軍団の中の大伴れいかサンとか ヘタレキャラの愛音羽麗くん、 などなど楽しい公演だったのだ。 憧れの明智小先生にお会いできるのもこれで最後だ。 本日、明智先生にはどうしてもやりたいことがあったらしい。 それは車の運転だ。 車の場面。 助手席に明智、運転席には波越警部という場面。 頬っぺたをポリポリかいて明智が何か言ったかと思うと、2人はおもむろに席を・・・運転を交替した。 ハンドルを握る明智小五郎。 いたずらっぽく笑いつつ。 S字カーブ! ヘアピンカーブ! 次は魔のデグナーカーブだ! ・・・明智さん、ちょっとハンドル回しすぎ。 命が惜しいと言いたげに、波越はすぐにハンドルを奪い返した。 そしてショー。 幕があいたとたんに真野すがたくんがコケた。 同じ場所で春野サンはつんのめった。 あそこ、なにか憑いてたのか。 それからよくあることだけど。 春野サンと真飛サンが2人で踊っている場面。 おんなじ振りのはずなのに、まるきり違うダンスに見える。 美学が違えばダンスも違う。 見事なくらい違いすぎ。 それはきっといいことなのだ。 千秋楽のご挨拶で組替え3人の挨拶があった。 「花組新入生です」の白鳥かすがサンと、 「コケてしまってご迷惑をおかけしました」の真野すがた君と、 それから壮一帆君は幸せに公演できたのはよく分ったが、本人いわく 「まるで退団するみたい」 な挨拶をを述べていた。 ただ一人の退団者は華桐わかなサン。 カーテンコールで「一言どうぞ」とうながされ、 「オサさん、大好き!」 「・・・おおぅ!」 二枚目とは言いがたい声で反応していた春野サンも、控えめな声で 「私も華桐わかなが大好きです」 と返していた。 つくづく妙な世界だと、思わないではないけれど。 だけど、桜の蕾もまだ固く、真冬のような寒風が吹きすさぶ日に、ここだけちょっと春めいて。 微笑ましい千秋楽だった。 カテゴリー(花) 2007年 03月19日
今日は花組千秋楽。
大好きな明智先生ともお別れする日がやってきた。 チケットは当日券と決めている私だが、この公演は特別で。 初日・新公・千秋楽と前売りなんぞを握り締め、気合いを入れているわけだ。 初日は飛行機が間に合わなくて観られなかったが、千秋楽は絶対に! と。 思っていたらチケットが無い。 昨夜ちゃんとバッグに入れた、確認もした。 それなのに。 無い! 無い! 見つからない! なぜだーー! 妹に手伝わせ、家じゅうをひっくり返して大探し。 バッグを逆さに振り回し、ポケットを裏返し、布団を引きはがし。 横では小さな姪っ子が 「見つかりますように!」 と魔法をかけてくれている。 ああもう時間がない! 大騒ぎすること30分。 「あったー!」 と妹が叫んだ。 ぶちまけたゴミ箱の中から燦然と輝くチケットが! 「ありがとう妹よ!」 叫んでひったくって家を飛び出す。 急げ! はたして私は開演に間に合うのだろうかと思いつつ。 ああ、ブログ化して初めての携帯更新がこんな話になろうとは…。 カテゴリー(未分類) 2007年 03月18日
2007年 03月16日
「大和悠河くんで『ルパン』をやるらしい」
最初にそう聞かされたとき、私は思わずこう答えた。 「それじゃあ、陽月華ちゃんは峰不二子だな!」 友達は冷ややかに 「違うよ」 と言った。 アニメじゃない。 3世じゃない。 次元や五右衛門は出てこない。 ルパン・ザ・サードでもルブランの元祖『アルセーヌ・ルパン』でもなかった。 大和悠河はルパン4世。 宙トップ4世。 お披露目公演となったドラマシティ公演『A/L(アール)』。 演出は齊藤先生で。 ・・・齊藤先生だというのに。 網タイツもバニーガールも変なカツラも出てこない! 「そこで殺すなよ!」 とか、 「あんたまで死ぬんかい!」 とか、 「ありえねー! 後味、悪すぎー!」 とかもない。 どうした、齊藤吉正。 今回かなりまともだよ! 笑いあり涙なしのコメディ『A/L(アール)』。 楽しい楽しい舞台だった。 お笑い満載。 キャラ満載。 頑張って締めていた敵役・悠未ひろくん、 色々やらされていたワトソン・春風弥里サン、 なぜか赤ら顔の和音美桜ちゃん、 男一匹・銭形平次なガニマールは初嶺麿代サン、 プロフェッショナルな寿つかさ副組長、 などなど、 「描きこみ不足を演技で埋めろ」 と気合の入ったキャラクターが勢ぞろい。 熱演ぞろい。 熱い舞台だったと思う。 客席もまた熱かった。 なにしろこれがお披露目初日。 開演アナウンスで拍手が沸いて・・・、 拍手が・・・ 拍手・・・ 拍手と一緒に笑いも湧いた。 みんなのアイドル可愛いタニちゃんが 「la comédie musicale」 フランス語一生懸命しゃべってるのがそんなに可笑しいか。 可愛い主役の大和くん。 シルクハットにステッキ、マント。 颯爽とあらわれたルパンは修正要らずの美しさをみせてくれた。 きれいになった。 本当にきれいになった。 相手役の陽月華サン。 キャッチフレーズは「いたずら天使」。 強くて変な女の子。 うまいこと使うてもろてます。 2人はとても爽やかで。 微笑ましかった。 今の宝塚はとてもややこしくて、 宙組をみていると特にややこしくて、 組とか組替えとかトップとか、 ・・・ワケわかんなくなるけれど。 どの組であれ宝塚は宝塚だ。 同じ山の違うほうを見ているだけだ。 新しいコンビをみてそう思った。 若い2人に、おめでとう。 カテゴリー(宙) |