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2004年 04月26日
さやさやと。
目に沁む緑。 若葉の萌える花のみち。 現実に疲れたひとが、 「緑っていいよねえ。癒されるよねえ」 って言うから、緑は目にいいらしいねと答えたら、 「違うよ。初風緑!」 ・・・叱られてしまった。 「こないだずーっとボーっと見てたら眠くなっちゃってさあ」 それはちょこっと癒されすぎ。 それでも彼女は今日も「緑を眺めに」入りを待つ。 さてさて、パンフを買ったぞバウホール。 舞台は前楽。 熱い方々に混ぜてもらって楽しんで参りました。 いやあ、ファンって凄いです。 よく見てます。 たとえば私が漠然と「でっかい手だなあ」と見ているときに、 ファンのひとは指先の動きまで見ているんですね。 セットの裏で正座してる大道具さんなんかに見惚れてる場合じゃないです。 ちゃんと見ましょう、私。 ファンも熱いが舞台も熱かった。 といっても、発散型の華やかな炎ではない。 内に秘めたる青い炎だ。 だが炎は赤より青のほうが実は熱いという。 抑えて抑えて熱がこもったそのすきまから、青白い炎の舌がちろちろと這い上がる。 気合の入った舞台だった。 気合の入った霧矢大夢だった。 うん、いいものをみた。 ・・・ついでに気合の入った私達は、気合の入ったおしゃべりを展開し、とんでもないことをやらかしてしまった。 この劇場に通い出して17年、一度もやったことがない粗相である。 笑えて笑えて笑えて。 笑いすぎて転んで指から流血する始末。 もう大騒ぎ。 まわりの皆さんごめんなさい。 帰り際、中央ゲートに停まったトラック一台。 クール宅急便である。 「お花だお花だ、胡蝶蘭だー」 と、搬入の様子を眺めていたら。 出てくるわ出てくるわ。 一体いくつあったのだろう。 トラックぎっしり一台分、ぜんぶお花だったに違いない。 クロネコヤマトご苦労さん。 ・・・明日は、新緑のムラに白い花が飾られることでしょう。 千秋楽おめでとう。 カテゴリー(月) スポンサーサイト
2004年 04月20日
これはホンマに新公なのか?
人海作戦そのまま遂行。 103名の大所帯。 なんだか凄い新公だった。 いや、凄いのは、人数ではない。 うまいのだ。 ・・・どこを見てもうまい、うまい、うまい。 歌声朗々、歌詞も明瞭、劇場を貫くような声で歌った音月スサノオ。 ええもん聴かせてくれました。 清廉な山科イナダヒメ。 スサノオを説得する場面がとても優しかった。 とにかく可愛くて、お父さんが手放したがらない気持ちもよくわかる。 そのお父さん、貴船アシナヅチ。 ・・・あれで新公学年はウソや。 こんな調子で、どこを切っても、どこまで切っても、うまいうまいで金太郎飴。 ひょええ。 何コレ。 これはホンマに新公なのか? 疑いはじめたその時に、現われたのがアオセトナ(緒月遠麻サン)。 ・・・ああ、よかった。新公だった。 いい意味でほっとする。 しかし迫力のあるアオセトナ様で、並んだスサノオと親子のようだった。 ちっちゃなスサノオの、へなちょこ側転も愛らしかった。 最後に、女王アマテラス(白羽ゆりサン)。 母性を感じるその姿。 神々しい歌声に思わずハハーッとひれ伏したくなる。 ああ、麗しき満月神アマテラス。 正面から見たら「円」だった。 ・・べつに茶化したいんじゃなくて。 おお大和よ。 と、スサノオは未来を想って歌う。 未来は宝だ、とも言う。 本来は日本の国の有り方について語られる物語なんだけれど、 今日ばかりは、宝塚の未来に想いを馳せてしまった。 いっしょうけんめい太鼓を叩いた初舞台生は、これからどんな未来を見るのだろう。 どんな世界が広がっていくのだろう。 今日の舞台の彼女らが、若者達がつくっていく未来。 きっと任せて大丈夫だ。 そんな迫力のある新公だった。 幕が下りても拍手は終わらなかった。 通路を駆け抜けて帰ろうとする上級生の背後で、緞帳は再び上がった。 ・・・新公にカーテンコールって普段からあったっけ? 音月君は3回くらい噛みながらも堂に入った挨拶をこなし、 上級生はひとしきりフィーバーしてから帰り、 そして明かりがついたとき、客席からは大きなざわめきと、ため息がもれた。 降参。 南無三。 おばちゃんは参りました。 カテゴリー(雪) 2004年 04月19日
若葉に雨だれ。
やわらかく降る春の雨。 私はぽつねんと一人傘をさして大劇場へ向かう。 燃える雪組に会いに。 炎のスサノオ様に会いに。 ・・・なのに。 誘われたら、どうしても我慢できなくなって観てしまったのだ。 『愛しき人よ』 月組である。バウである。 大劇以上より千円も高い。 清水の舞台から飛び降りる覚悟でチケットを買ったら、 あろうことか210円のパンフレットが、税込み600円に値上がりしていた。 便乗値上げここに極まれりである。 給料が出るまで買えやしない。 で。 誰よりもまず川島芳子。 かなりきてます男装の麗人。 彼女の守備囲の広さにはアオセトナ様もびっくり仰天だ。 不思議な世界にもう釘づけ。 アブナイ笑いが止まりません。 さすがは溺れ好きの齋藤演出。 歌詞でもしっかり溺れている。 しかし今回はちょっと驚いた。 齋藤先生が芝居を書いている! ・・・多分、芝居だ。 今までよりは。 それから夏河ゆら組長。 役名、若菜さん。 なんて春らしく爽やかな名前! と思ったら、しっかり怨霊と化していた。 最後に霧矢大夢サン。 背中で語る遠藤和実。 渋み全開男の色気。 最後の挨拶で 「そろそろ雨もやむ頃だと思うので、お気をつけてお帰りください」 と言ってくれた。 「やんでない、やんでない!」 背後から組長がツッコミを入れる。 そのとおり、劇場を出たら、滝のような豪雨であった。 忙しい和美さんには天気予報なんか見ている暇などないのである。 「体調、大丈夫なんかな」 という声が聞こえてくる。 5月7日まで頑張ってください。 みんなのみんなの愛しき人よ。 カテゴリー(月) 2004年 04月02日
桜だ、桜だ。
満開だ。 花のみちが白い花弁の天井でおおわれた。 大劇場では、初舞台生が若さを満開させている。 口上で声が裏返っちゃう子。 震えてる子。 目がうつろになってる子。 そして大事なロケットのセンターで、元気よく尻餅をついちゃった子。 ・・・あの子はあとで泣くだろうか。 大丈夫だよ。 客席は誰も責めない。 ここは宝塚だから。 3年5年、もっと経って、大きく大きく大きくなった時に、 私、初舞台の初日にコケたんですよ! って、 話のネタとして聞けるだろう。 私達はその日を、大きくなった姿を、楽しみにしてる。 さて公演は、芝居『スサノオ』から始まる。 ニセモノ古事記が大暴走。 あんまり勢いよく走ったもんで、音をたてて柱に衝突! 大破しました木村信司。 輝くオデコをスリッパで一発叩きたくなること請け合いだ。 そんなアホなと突っ込み疲れ、笑い疲れ、 張り上げる大音声に耳が疲れてしまったが、 それでもやっぱり、私は好き。 朝海サンのスサノオは信じられないほど綺麗でした。 ショー『タカラヅカ・グローリー』。 タカラヅカって素晴らしい! 歴史と栄光に包まれて! これからも世界へ羽ばたいていく! パタパタパタ。 ・・・めでたいったら、ありゃしない。 今回の見物はなんといっても「90人ロケット」だろう。 90人。 大人数である。 舞台ぎっしりラインダンスである。 なのにふと双眼鏡を覗いたら、最初に飛び込んできたのが 「不肖、未来優希、躍らせて頂きます!」 てな大きな笑顔だった。 ・・・90人もいるのに。 未来優希サン狙い撃ち。 いやいや、狙い撃ちしている場合ではない。 90人もいるのだ。 他の人も見よう。 必死の思いで双眼鏡を動かすと。 白羽ゆりサンが、虫が飛び込みそうなほど大きな口を開けたまんま、脚を上げていた。 私もつられて、呆然と口を開けてしまった。 笑い疲れて劇場を出ると、夕暮れ色に染まった桜の上を、コウモリが飛んでいた。 カテゴリー(雪) |