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2003年 08月25日
八月盛夏の花のみち。
熱く乾いた風が吹く。 真っ青な空を見上げていたら、楠の木の葉がサヤサヤ鳴って、 ぼとっ! 鳩が落し物をした。 あやうく頭に被弾するところであった。 危ない、危ない。 今朝はなんとなく紫吹サンの顔が見たくなってここに来た。 久しぶりの入り待ちだ。 意味もなくワクワクする。 車から降り立った紫吹氏は、黒の上下にしましまシャツ。 ふんわりした髪の毛が可愛らしい。 バッチリメイク。 パッチリお目め。 子供のファンにむかって微笑みかけている。 優しい微笑み。 ・・・退団発表後、笑顔が多くなったよと、それでも寂しそうにリカファンは言った。 入りが終わる頃には、ミイラになってしまいそうな暑さだった。 大劇場へ涼みにいく。 開演1時間前。 サバキ場、いや、以前サバキ場だった所には、係員が何人も立って見張っている。 今更だけれども、暇だったので、係員の一人に声をかけてみた。 「サバキ詐欺があったって本当ですか?」 「本当ですよー」 比較的若い係員はフレンドリーであった。 けんもほろろな対応を覚悟していただけに、これは意外だ。 彼はサバキ禁止令についていっぱい喋ってくれた。 「1件や2件じゃないんです。表沙汰になっていない件もあって。 僕も何回か警察から事情聴取されました。 劇団の敷地内で起こったことですから。 で、これだけ頻繁に起きると、 『ファンの人達の間で個人的に起きたことだから』 では済まなくなりまして。 敷地内のことですし、警察の手前、予防策をとらないわけにはいかないんです。 それでこの夏から、そういうことは止めて下さいと『お願い』することになったんです。 でも、強制じゃないです。お願いなんです。 そのために警備員ではなく僕ら社員がここに立つことになったんです」 大方、予想通りの答え。 私は質問を変えた。 「でも実際、急用などで観られなくなった場合、すごく不便なんですけど。 払い戻しのシステムはつくってもらえないんですか?」 「そういう声もたくさんあるのですが・・・一朝一夕にはいかなくて。 せめて友の会だけでもと、これから検討していくところです。 個人的には必要だと思うので、なんとかしていきたいんですが」 極めて日本人的な言い方でお茶を濁されてしまった。 放置してるダフ屋のオヤジのことなど、訊きたいことはまだまだあったが、 「すみませーん、シャッター押してください」 「ファンタジーガーデンへはどう行くんですか?」 係員はお客さんとコミュニケーションをとるのに大忙しだったので、このへんでやめておいた。 最後に彼は言った。 「メールや文書などでは、どうしても事務的になってしまうのですが・・・。 こうやってじかにコミュニケーションをとることで、お客様のご意見をたくさんお聞きしたいと思います。 提案があればどんどん言ってきてください」 だそうです。 文句でも苦情でもどんどん言ってあげてください。 ただし聞く耳をもつかどうかは、係員によると思います。 それから当日券売り場へ。 それなりに売れているようである。 まあ、夏休みだし。 最近の、組を問わない危機的ガラガラ状況をみれば、座席が埋まるってスバラシイことである。 劇団がつぶれては私達もシャレにならない。 サバキ禁止効果なんて今だけだろうけれど。 ・・・それにしても、3500円は高い。 観ようか。 どうしようか。 悩んでいたら、前売り窓口の前で意外な人を発見した。 ♪ ミッキーマウス、ミッキーマウス、ミッキミッキマウス 三木章雄氏。 演出家先生である。 窓口の電光掲示板をじいーっと見つめている。 そこには、彼自身が演出した雪組公演の、チケット売れ行き状況が表示されていた。 「◎=余裕がございます」 「◎=余裕がございます」 「◎=余裕がございます」 ♪ あ・る・のは非情? ♪ 無・い・の・は情け? 俺だって泣きたい。 窓口を去る三木先生の後ろ姿は、なんともいえず憂いに満ちていた。 そんな背中を見送りながらも、柳生新陰流な私は、結局、公演を観ずに帰ったのであった。 カテゴリー(花のみち日記) スポンサーサイト
2003年 08月23日
今日は地蔵盆だとか。
蒸し暑い空気や、蝉の鳴き声は、夏そのものだけれども。 大劇場の夏は終わった。 ギラギラした夏は終わったのだ。 代わって公演中なのが雪組さん。 ・・・雪組。 なんて、ひんやりした響き。 ・・・雪組。 木陰にそよぐ涼しい風を貴方に。 ついでに赤い客席がなんとも言えぬ涼感を醸しだしてます。 夏バテ気味のこの季節にぴったり。 おひとついかが。 嫌味ではなく。 心地いいくらい涼しげな公演だ。 大作のような話題も派手さも、豪華さもない。 あるのは芝居とショーだけだ。 スーツと。 羽と。 ピンクのドレス。 ここには平穏なタカラヅカが横たわっている。 私の落ち着ける場所が。 そんな公演なのだ。 しかし実は、今日の観劇はとても落ち着いた気分ではいられなかった。 チケットからして、掲示板で買った「お忘れ券」(実券は手元にない)。 「正規の窓口で」 云々かんぬん言う放送を無視し、改札口で元気にご挨拶。 「こんにちは! チケット忘れてきちゃいました! でも席番は覚えてます♪」 係員のメガネが光る。 我ながら私はうさんくさい客だろう。 「本当に忘れたんですか? どこに忘れてきちゃったんですか?」 尋ねる口調が怖かった。 「お家でーす♪」 どこのお家かは知らんけど、無邪気に答えたら入れてくれた。 見知らぬ人との口約束。 しかもチケットが無いというので不安満タンだったのだが。 無事、座ることができ一安心。 そして開演してみれば。 舞風サンは噛みまくるし。 朝海サンもつられて噛むし。 挙句の果ては、セットがうまく作動しなかったらしい。 裏方のお兄さんがカッコよく登場してしまった。 それは華やかなショー場面。 目標は舞風りらちゃんの足元。 上手袖からあらわれた、疾風のごときお兄さん。 行け! ダッシュだ! 光速すべりこみをキメる。 床に落ちたセットを拾い、また死に物狂いで袖に駆け込む。 その姿はまさに猫に追われたネズミのよう。 人間、死ぬ気になれば100mを5秒くらいで走れるのだなと思った。 まだ初日あけ2日目で、ざわついた感はあったけれども。 じわじわと良い公演である。 最後に一言。 これは心からの賛辞。 ・・・コムちゃん。トップになったね。 カテゴリー(雪) 2003年 08月18日
低い。
低い。 血圧が低い。 ゴキゲンで幕をあけたこの公演だが、千秋楽を迎えた今日、私の体調は最悪だった。 眩暈に頭痛に耳鳴りに。 しかも立ち見の130番台。 もたれる所もありはしない。 「わたし倒れるかもしれへん」 立見歴16年を誇るような誇らないようなキャリアにも、とうとう傷がつくかもしれない。 それでもなんとか目を覚まし。 立って観ましょう千秋楽。 楽といっても、一応は悲劇だからアドリブの入れようもないが、 初日からぶっ飛ばし続けた星組生の情熱は途切れることがなかったようだ。 全速前進、勇往邁進、猪突猛進。 行け行け!ラダメス。 鉄腕ワタル。 ・・・この公演5回観たけど、今日ほど絶好調に音をはずしてくれるアムネリス様は初めてだった。 お陰で、壁画右端に描かれた男性がパンツ一丁であることに気づいてしまった。 しかもブリーフだよ。 なんだか見てはいけないものを見た。 ああ、いかん。 楽だというのに何処を見ているんだ私は。 どうも意識が散漫である。 体調のせいだろうか。 舞台に集中しようと、 「アイーダが『ああっ!』と言って倒れる回数」 を数えることにした。 「あっ!」 「ああっ!」 「きゃはあっ!」 12回くらいまで数えたが、リンチの場面で挫折した。 そして今度は、私が倒れる番だった。 眩暈はなんとか抑えたものの。 お芝居後半で突然、 「うっ!」 とサシコミがきた。 立ち見だから走ればいつでも出ることができる。 だが、千秋楽。 今日を最後に、金塊ファラオにも閻魔アモナスロにも、 シコを踏むどすこい女官群にも、もうニ度と会えないのである。 ・・・一秒たりとも見逃すまい。 私と友達は、暗転の間でさえもそう思い、音声さん(?)のモニターに写る 「袖を走りまわるエジプト兵」を凝視していたほどである。 でも、どうしよう。 どうしよう。 お腹が痛い。 本気で痛い。 これはやばい。 泡をくっていたその時、 「うろたえてはなりません!」 と檀アムネリス様に一喝された。 不思議なことに、それで治った。 病は気から。 セイロガンよりアムネリス様。 申し訳ないくらい朦朧とした観劇だったが、とうとう幕が降りてしまった。 英真組長さんは、今までにない雰囲気で 「舞台ではいい緊張感が持続し、楽屋では楽しく、空気が澄んでいました。 こんな空気が全世界に広がれば、愚かな戦争は起こらないでしょう」 と挨拶した。 日本の夏。 平和を祈る夏。 そして私は思ってしまった。 私達がこうやって煌びやかな宝塚を観、幸せにひたっている、その同じ時に 地球の裏側では餓えて死んでいく人がいると。 裕福な国を指差して、 「光ってやがる、輝いてやがる、俺達の暮らしとは全然違う、なぜだ!」 と唾を吐きかける人たちが、今、現実に生きているのだと。 それは決して「仕方がない」ことではないのだと。 思ってしまった。 ・・・だって組長さん、神官衣装のままなんだもん。 大階段からは陽色萌サンが降りてきた。 きりりと締まった、緑の袴。 顔は黒塗り、エチオピア。 「ヒマワリのように太陽に向かって花開く時」なのだそうである。 今週からはようやく暑くなってくるのだとか。 冷夏に負けるな高瀬先生。 最後の挨拶。 「本当に!」 と湖月サンは言った。 「本当に!」 それで詰まってしまった。 泣き虫ラダメス。 「舞台のことだけ考えていられた。みんなに感謝します」 そう言ってまた泣いた。 客席は今日もやっぱりスタンディング・オベーションになったのだが、 今回、私はジャンプする体力がなかったので何も見えなくなってしまった。 まあ、いいや。 本当に。 本当に、幸せで、よかったね、わたる君。 カテゴリー(星) 2003年 08月05日
とてもとても、観るのを楽しみにしていた。
今日のバウホール公演。 出掛けに母にこう報告した。 「今日、『犬夜叉』観てくるねん!」 ・・・違う。 犬は犬でも。 『八犬伝』。 だが蓋を開けてみれば、やはり『犬夜叉』だ。 お姫様にヒーローに。 四魂の玉ならぬ、8つの宝玉で結ばれた仲間達。 奇々怪々、ユカイ痛快、かいぶつクンだらけの悪役達も、また見事。 「妖怪たちをぶっ倒す!」 キックもきまるぜ、水夏希。 今年の夏も、宙組ファミリー劇場をどうぞよろしく。 「席、連番じゃなくてよかったなあ」 終演後、友達がしみじみと言った。 隣同士で座っていたら、迷惑なくらい笑ってしまっていただろう。 まさに抱腹絶倒。 カッコいいやら悪いやら。 きわどい線上の物語。 それに加えて、今日の水サンはドライアイスで滑るやら、 小道具をひっかけて貴柳みどりサンの衣装を破るやら、 なんだか一人で大騒ぎしていた。 まあ、楽しければすべて良し。 演出家は若手の鈴木圭ちゃん。 今回はキムシンが乗り移ったかのような状態だったけど、 こないだのバウ・ワークショップといい、相当な派手好きとみた。 しかも、あまり趣味がよろしくない。 近い将来、また何かやらかしてくれるかもしれない。 楽しみな人だ。 ・・・しかし、あれだな。 大劇場で『王家に捧ぐ歌』。 博多座で『鳳凰伝』。 そしてバウと青年館でこの『八犬伝』か。 なんてくどい夏なんだ。 日本全国で「殺せ!」連呼のタカラヅカ。 ヒーロー続出、タカラヅカ。 ああ。 本物のヒーローも出てきて欲しいタカラヅカである。 カテゴリー(宙) |